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    建物診断とは?調査項目や費用相場・流れなどを解説

    #大規模修繕

    最終更新:2024.10.22

    マンションやビルなどの大規模修繕を実施する際、工事の前に「建物診断」を行い、建物の状態を調査する必要があります。

     

    そのため、大規模修繕工事の一環として建物診断を実施するケースも多く、業者や管理会社から提案を受けて、必要であることを知る建物所有者の方もいるでしょう。

     

    そこで今回は、建物診断とは何か、建物診断で行う調査項目や費用相場、調査の流れについて解説します。ぜひ最後までご覧ください。

     

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    建物診断とは

    建物診断とは、建物の状態を把握するために実施する調査のことです。

     

    建物診断は作業員が目視や触診のほか、機械を使った調査などを実施し、建物の劣化状態を細かく調査していきます。大規模修繕を実施する前に建物診断を行うことで、優先度の高い修繕箇所を把握するといったことが可能です。

     

    関連記事:大規模修繕で押さえておくべき法律は?定義や確認申請が必要なケースを解説

     

    関連記事:大規模修繕にかかる費用は?工事の流れや払えない場合の対処法を解説

    建物診断を実施するとわかること

    建物診断を実施すると、主に以下の5つのポイントが明確になります。

     

    • 劣化状況
    • 耐震強度
    • 収益性
    • 実施すべき修繕箇所
    • 大規模修繕のタイミング

     

    一つひとつ詳しく見ていきましょう。

    劣化状況

    建物診断を実施することで、外から見ただけでは判断できない建物の劣化状況がわかります。

     

    建物は年数が経つごとに劣化が進みますが、劣化箇所や程度は建物によって異なります。そこで、主に以下の項目をチェックして、建物ごとの詳細な劣化状況を判断するのです。

     

    【劣化診断の項目】

    • 構造上問題がないか
    • 屋根や外壁などの防水性が維持されているか
    • 仕上げ材に不具合が生じていないか
    • 瑕疵はないか

    耐震強度

    建物診断では、耐震診断を実施し耐震強度をチェックすることも可能です。耐震診断とは、建物の耐震性能を設計図の確認・現地調査から数値化することです。

     

    耐震診断を実施したうえで報告書を作成します。仮に、建物の耐震強度が不足しているとわかった場合は、耐震補強工事を行うなどの対策が必要となります。

     

    日本は地震大国であり、建物の利用者の安全を守るためにも耐震強度を把握しておくことは重要であるといえるでしょう。

    収益性

    建物診断では、劣化状況や耐震強度のほか、収益性の診断も可能です。

     

    たとえば、マンションの場合は近隣のマンションの入居率や家賃相場、周辺環境、法的規制などをチェックし、調査対象となるマンションにどのくらいの資産価値があるのか判断します。

     

    また、周辺のマンションと比較することで、どのような差別化を図るのかを検討できるため、安定した収益を維持するのに重要な工程であるといえます。

     

    実施すべき修繕箇所

    建物診断は、建物の劣化状況や耐震強度を把握できることから、修繕箇所の検討にも役立ちます。

     

    明らかな劣化がある場合は修繕の緊急度が高いと判断できるのはもちろん、診断結果によっては、劣化が深刻でない箇所の修繕計画を先送りにすることもあります。

     

    とはいえ、建物診断の結果によって、大規模修繕の内容が大きく変更されるケースは珍しく、基本的には築年数や立地、気候などから予測した長期修繕計画に基づいて工事が進行されます。

     

    大規模修繕のタイミング

    建物診断を実施することで、いつ大規模修繕を実施するべきかを判断できます。

     

    大規模修繕は10〜15年に一度実施するのが基本ですが、こちらはあくまで目安の周期であり、適切な実施時期は建物ごとに異なります。

     

    そこで、建物診断を実施することで、前回の大規模修繕からどのくらいの周期で実施すべきかを判断でき、結果的に良好な状態の建物を維持するのに役立つのです。

     

    また、マンションの大規模修繕費は、所有者が支払う修繕積立費から支払われます。

     

    そのため、建物診断であらかじめ大規模修繕を実施するタイミングについて検討しておくことは、計画的かつ適正金額の修繕積立費を設定することにつながり、所有者の負担を軽減するのにも役立ちます。

     

    建物診断の調査項目

    建物診断では、建物の外壁や屋根をはじめ、骨組みや配管などの調査も行われます。

     

    主な調査項目は以下のとおりです。

    • 共用部分調査
    • 外壁調査
    • 屋上防水調査
    • 鉄部塗装調査

     

    このように調査項目が複数あり、項目ごとに調査方法が変わります。ここでは建物診断の調査項目について詳しく見ていきましょう。

    共用部分調査

    マンションで居住者が共用で利用する部分を「共用部分」と言います。エントランスや廊下などが代表的な箇所で、建物診断では共用部分の劣化状態を調査する項目があります。

     

    予備調査として、図面や過去の修繕履歴などを使って建物ごとに劣化しやすい箇所を把握したうえで、調査員が共用部分の現地調査を実施するのが基本です。

     

    共用部分調査は調査員による目視で実施されるほか、居住者にアンケート調査を実施し、不具合や劣化を感じている部分を回答してもらうケースもあります。

    外壁調査

    建物診断では、外壁塗装の剥がれや色あせ、外壁材のひび割れなど、外壁の劣化状況を把握する調査項目があります。

     

    外壁調査は以下の3つの方法で実施されます。

    • 目視調査:調査員が目視で外壁の不具合をチェックする。
    • 打診調査:打診棒と呼ばれる専用の器具で外壁を叩き、音で不具合をチェックする。
    • 赤外線調査:温度を可視化できる赤外線カメラで外壁を撮影し、温度ムラから不具合をチェックする。

     

    目視調査や打診調査は、調査員が手作業で外壁を調査するため、細かな部分まで調査可能です。しかし、小範囲を調査するのに時間がかかるうえに、足場が必要であるため、作業にコストや時間がかかります。また、危険と隣り合わせであることも懸念点です。

     

    一方、赤外線調査は足場が不要であり、目視調査や打診調査よりも少人数で実施できることがメリットとして挙げられます。しかし、外壁に対して一定の角度を保つ必要があり、高層階の赤外線調査は地上から実施できません。

     

    そこで、後ほど詳しく解説しますが、ドローンを使った赤外線調査が注目されています。赤外線カメラを搭載したドローンを使うことで、高層階であっても常に一定の角度・距離を保って外壁調査が可能です。

     

    従来の赤外線調査の良さを生かしながら、ドローンを使うことで問題点をカバーできるため、メリットの多い外壁の調査方法であるとされています。

     

    なお、外壁の打診調査と赤外線調査について以下の記事でも詳しく解説しています。

     

    関連記事:外壁調査とは?必要性や調査方法、業者に依頼するときのポイントを解説

     

    関連記事:外壁の打診調査とは?調査対象や赤外線調査との違いなどを解説

    屋上防水調査

    建物診断では、屋上の防水性の調査も実施されます。

     

    目視調査や打診調査のほか、屋上防水に穴を開けて、簡易的なボーリング調査を実施する方法などが代表的です。ボーリング調査では、穴を開けた部分に塗料を塗布し、加工の劣化状況から防水性を判断します。

     

    また、防水性が維持されているかに加えて、排水口の詰まりが発生していないかなど、屋上全面の調査も実施されます。

    鉄部塗装調査

    建物の鉄部は、経年劣化によってサビが発生しやすく、放っておくとサビが拡大して鉄が腐敗してしまいます。

     

    一般的な耐用年数は3〜6年と言われているため、鉄部塗装調査によって、目視や触診、引っ張り試験などを実施し、鉄部の状態を調査します。

    建物診断の費用相場

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    建物診断の必要性について理解しているものの、費用面が気になる方も多いでしょう。

     

    基本的に建物診断は「無料診断」と「有料診断」の2種類があります。

    • 無料診断:費用は発生しない。目視・打診調査のみの簡易的な方法となる。
    • 有料診断:建物の規模や劣化具合、診断内容に応じて費用が発生する。専門機器を用いて精密な調査が可能。

     

    このように、簡易的な調査内容であれば、無料で対応している業者もあります。しかし、目視調査や打診調査のほか、専門機器を用いて細かな部分まで調査する場合は、有料診断となります。

     

    有料診断の費用相場は、小規模建物で20〜40万円、中規模建物で30〜80万円、大規模建物は50〜100万円となっています。また、建物の劣化具合や調査項目によっても費用が変わるため、詳細な建物診断の費用については業者に見積もりを依頼して確認しましょう。

     

    関連記事:大規模修繕にかかる費用は?工事の流れや払えない場合の対処法を解説

    建物診断の流れ

    実際に建物診断を行うときは、報告書の作成までに以下の流れで進めていくのが一般的です。

     

    1. 建物診断を業者に依頼する
    2. 打ち合わせを行う
    3. 予備診断の実施
    4. 現地調査の実施
    5. 建物診断の実施
    6. 建物診断報告書の作成・提出

     

    まず、建物診断を実施するときは、施工会社や管理会社、第三者期間にあたるコンサルティング会社などに依頼するケースが多い傾向にあります。

     

    次に、依頼先が決定したら、どのような内容の建物診断を実施するのか、費用面を含めて打ち合わせを行います。

     

    打ち合わせで診断内容を決めたら、建物診断を実施する前に予備診断が実施されます。その際、居住者アンケートを実施も実施し、実際に建物を利用している人の声も取り入れながら建物診断の内容を精査します。

     

    その後、現地調査を実施して建物診断が実施され、調査結果をもとに「建物調査診断報告書」が作成され、マンション側に提出されるのが基本の流れです。

    建物診断はドローンで実施可能な場合もある

    建物診断の外壁調査を実施するときは、足場を組み、作業員による目視・打診調査で実施するケースが一般的でしたが、最近ではドローンを活用するケースが増えています。

     

    目視・打診調査は足場が必要になる、作業員が手作業で調査を進めなければならないことから、作業時間やコストがかかるうえに、転落事故の危険があるといった点が問題でした。

     

    しかし、赤外線カメラを搭載したドローンを利用すると、数名の作業員で地上から調査可能です。また、広範囲を短時間で点検できることもあり、時間やコストの短縮に加え、安全性の高い調査が可能になります。

     

    また、ドローン調査は外壁だけでなく、屋上部分や目視・打診調査がむずかしい箇所の調査にも適しています。

     

    すべての建物調査をドローンで実施するのはむずかしいですが、積極的に活用することでメリットを得られる可能性があるため、利用を検討してみてください。

     

    関連記事:外壁の赤外線調査とは?打診調査との違いや費用について解説

    大規模修繕工事の前に「建物診断」をしよう

    今回は、建物診断について解説しました。

     

    建物診断とは、建物の状態を把握するために実施する調査のことであり、大規模修繕の前に実施されることが多いといえます。

     

    建物診断を実施することで、建物の劣化状況や耐震強度、収益性などがわかるほか、大規模修繕を実施すべき箇所やタイミングを判断するのにも役立ちます。

     

    また、調査項目は複数あり、調査項目によって方法が異なります。外壁調査などではドローンを活用するケースが増えており、従来の方法と比較して時間やコストの削減、安全性向上などのメリットが期待できます。

     

    ぜひ今回の記事を参考に、ドローンの活用も含めて建物診断について検討してみてください。

     

    また、ドローン業者に点検のお見積りやご相談を希望の方はお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

     

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