点検 2023.12.01

ドローン測量とは?メリット・デメリットや費用相場、手順などを解説

#測量

最終更新:2024.04.29

近年、ドローンを取り巻く環境が急速に変化し、映画やドラマの撮影などで用いられるケースが増加しています。

 

さらに、ドローンは空撮技術を生かして、建設や土木工事の現場で測量を行う際にも活用され始めています。

 

そこで今回は、ドローン測量とは何か、種類やメリット・デメリット、費用相場などを解説します。また、具体的なドローン測量の手順についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

▶【全国対応】ドローン測量業者を探す

ドローン測量とは?

国土交通省が推奨する「i-Construction」により、2016年3月から公共工事においてドローン測量が用いられるようになりました。

 

i-Constructionとは、国土交通省が掲げる20個の生産性革命プロジェクトの一つであり、建設現場における設計や施工、検査、現場の維持・管理などのプロセスをICTを導入することで向上させることを目指す取り組みです。

 

なかでも、ドローン測量とは、ドローンの空撮によって建設現場の写真を撮影することで、対象エリアの形状を計測するものです。測量範囲によりますが、空撮自体は数十分で済むことが多いため、人力による測量よりも大幅に工数を削減できるとして注目されています。

 

▶【全国対応】ドローン測量業者を探す

ドローン測量と従来の測量方法の違い

ドローン測量は、ドローンに搭載したセンサーやカメラで、上空から対象エリアの地形を測るものです。では、従来の測量方法とドローン測量は具体的にどのようなポイントが異なるのか、見ていきましょう。

従来の測量方法 ドローン測量
地上での測量 航空機を使った測量
方法 距離と角度を測れる装置(トータルステーション)を利用し、地上から測量する セスナなどを使用し、上空(高空)から写真やレーザー照射を行って測量する ドローンを使用し、上空(低空)から写真やレーザー照射を行って測量する
適した測量範囲 小範囲 広範囲 中~広範囲
コスト 範囲によっては高い 高い 比較的安い

 

従来の測量方法といえば、地上から専用の装置を使って人力で測量する、もしくは航空機を使って測量するのが一般的でした。

 

地上での測量は、小範囲を測量するだけでも工数がかかるため、工事現場など広い範囲を測量するには膨大な時間とコストがかかります。一方、航空機を使って測量を行えば、短時間で広範囲を測量可能です。しかし、航空機や操縦者の手配などが必要となり、結果的に高額な費用がかかります。

 

ドローン測量は、地上での測量と航空機による測量の中間的位置づけであり、それぞれのデメリットを解消できる測量方法として注目されています。ドローンを活用すれば、中〜広範囲を短時間で測量できるうえに、航空機を使って測量するよりも費用を抑えやすい傾向にあります。

 

▶【全国対応】ドローン測量業者を探す

ドローン測量の種類

従来の測量方法とドローン測量の違いについて解説しましたが、ひとえにドローン測量といっても3種類の方法があります。

 

  • 写真測量
  • レーザー測量
  • グリーンレーザー測量

 

種類によって、特徴や適した測量範囲・シーンなどが異なるため、違いを見ていきましょう。

写真測量

ドローンによる写真測量とは、地上に設置した標定点(GCP)をベースに、ドローンに搭載したカメラで対象範囲を重複させるように空撮し、撮影した写真データをつなぎ合わせて地形情報を調べる測量方法です。なお、標定点(GCP)とは、あらかじめ正確な座標がわかっているポイントのことを指します。

 

ドローンにはカメラが標準搭載されているため、コストを抑えて測量できることがメリットです。

 

ただし、写真では地上の起伏を細かく読み取ることがむずかしいため、木が生い茂っている場所など、障害物となる物が多いところの測量には不向きです。

 

反対に、地表が見えている場所は測量可能であり、レーザー測量よりもコストを抑えやすいでしょう。

レーザー測量

レーザー測量とは、ドローンに搭載したレーザー測距装置から対象となるエリアへレーザー光線を照射し、レーザーの反射によって距離情報を取得する測量方法です。

 

レーザー光線を照射するため、写真測量が不向きな木々が生い茂っているエリアなども正確に測量できます。また、写真測量よりも標定点(GCP)を大幅に減らせるため、測量時間を短縮しやすいこともメリットといえるでしょう。

 

ただし、ドローンに搭載可能なレーザー測距装置は高価なものが多く、カメラ測量よりも導入コストが高額になることがデメリットです。

グリーンレーザー測量

グリーンレーザー測量は、レーザー測量の一種であり、川や海など特殊な環境でも測量可能であることが特徴です。

 

水の影響を受けない特殊なレーザーを搭載しているため、川底などの地形をドローンで測量できます。川や海での測量を人力で行うのは膨大な工数がかかるうえに、危険を伴うため、画期的な方法として注目されています。

 

▶【全国対応】ドローン測量業者を探す

ドローン測量のメリット

従来の測量方法と比較して、メリットが多いことから測量にドローンが活用され始めています。

 

ここでは、ドローン測量の具体的なメリットを見ていきましょう。

作業人時の削減につながる

従来の測量方法として一般的であった、地上で測量を実施する方法と比較して、ドローン測量は作業人時を大幅に削減できることがメリットです。

 

国土交通省が発表している「ICT土木事例集(測量業務編)」によると、 天竜川水系小渋川流域測量業務において、地上測量では5日(40時間)の作業工数が必要であったところ、ドローン測量を実施したことで1日(1時間)に短縮できたと報告されています。

 

また、測量で取得したデータを3Dデータへ編集するという内作業の工程においても、地上測量が3日かかったのに対し、ドローン測量では半日に短縮されています。

 

ドローン測量は、専用ソフトを使った自動解析を実施できるため、内作業の工程も大幅に短縮できるのです。

 

さらに、地上測量では現場作業員15名と内作業員2名の合計17名が必要であったのに対し、ドローン測量では現場作業員5名と内作業員1名の合計6名で測量が完了しており、時間だけでなく、必要な人員数も大幅に削減できていることがわかります。

 

このように、従来の地上測量と比較して、時間・人員の両方の削減効果を発揮しているのです。

 

参考:ICT土木事例集(測量業務編)|国土交通省

測量費用が抑えられる

ドローン測量は、ほかの測量方法と比較して、測量費用が抑えやすいこともメリットです。

 

先に解説したとおり、ドローン測量は地上測量と比較して、時間・人員の両方を削減できるため、測量コストを抑えられます。

 

また、航空機を使った測量と比較しても、ドローン測量の方が費用を抑えやすい傾向にあります。

 

ドローン測量の場合、機材の購入費用として数十万円ほどかかりますが、一度機材を揃えてしまえば計測の度に高額な費用負担がかかることはありません。一方、航空機を使って測量する場合、計測する度に航空機を手配して飛ばすことになるため、1回あたり数十万円〜数百万円の費用がかかります。

 

複数回、測量を実施する可能性があるなら、ドローン測量が最も測量費用を抑えやすいといえるでしょう。

人の立ち入れない場所でも測量できる

ドローン測量は、人の立ち入りが困難な場所でも比較的簡単に測量できることもメリットとして挙げられます。

 

測量が困難な場所とは、土砂崩れや河川の氾濫で危険区域となっている場所や崖、傾斜の多い場所などが代表的です。

 

このようなエリアは、人が入って測量するのが困難ですが、地上から計測できるドローンを使えば測量できるケースがあるのです。

3Dデータを容易に取得できる

ドローンは撮影した地形情報を3次元点群データとして保存しているため、専用ソフトを使えば簡単に3Dデータを取得できることもメリットの一つです。

 

従来の地上測量の場合、測量したデータを3Dデータへ編集するという工程においても、時間がかかっていました。

 

たとえば、先ほど解説した「ICT土木事例集(測量業務編)」の天竜川水系小渋川流域測量業務においても、地上測量で取得したデータを3Dデータへ編集するのに作業員2名で3日かかっていたことから、データを編集するのにも工数を要していることがわかります。

 

しかし、ドローン測量では同作業を作業員1人で半日で完了しており、ドローンを活用することで作業負担軽減につながっているといえるでしょう。

 

▶【全国対応】ドローン測量業者を探す

ドローン測量のデメリット

ドローン測量は、建設や土木工事の現場にとって多くのメリットがあります。

 

しかし、ドローン測量はメリットだけでなくデメリットもあるため、具体的にどのようなデメリットが挙げられているのか見ていきましょう。

測量範囲が広いとバッテリー交換が必要になる

ドローン測量に用いられるドローンは、連続飛行時間が30分程度の機体が一般的です。

 

しかし、測量範囲が広くなると、30分では計測できないケースも珍しくありません。その場合、予備のバッテリーを用意するなどの対策が必要になります。

 

測量範囲によっては、何度も作業を中断してバッテリを交換しなければならず、予想以上に測量時間がかかる可能性があるため注意しましょう。

測量場所によっては従来の方法よりも割高になる

ドローン測量は、中〜広範囲の計測に適しており、測量範囲が狭いと割高になる可能性があることもデメリットです。

 

狭い範囲の測量であれば、人力による地上測量の方が費用を抑えられることがあり、すべてのケースでドローン測量が費用を抑えられるわけではありません。さらに、人が簡単に立ち入りできたり、凹凸がなく計測しやすかったりする場合も、地上計測の方が安くする場合があります。

 

測量にかかる費用を重視する場合、測量範囲や場所に応じて、最適な方法を選択するようにしましょう。

天候に左右されやすい

ドローン測量は、天候に左右されやすいこともデメリットとして挙げられます。

 

ドローンは雨や風に弱く、測量実施日の天候によっては計測を別日に延期しなければなりません。防水・防塵機能を搭載しているドローンもありますが、故障リスクを高めるため避けるべきだといえます。

 

なお、急な突風や大雨の影響で点検を中断せざるを得ないケースもあり、天候に左右されやすいのはデメリットといえるでしょう。

 

▶【全国対応】ドローン測量業者を探す

ドローン測量の費用相場

ドローン測量について興味を持っているものの

「いったいいくらかかるの?」

「ドローン測量の費用相場が知りたい」

など、費用面が気になっている方も多いでしょう。

 

ここでは、ドローン測量の費用相場を解説します。

自社で導入する場合

まずは、自社で機材を揃える場合の費用相場を見ていきましょう。

ドローン測量(写真) ドローン測量(レーザー)
ドローン本体 20~200万円前後 本体:20~200万円前後

レーザー:250万円前後

タブレット 4万円前後 4万円前後
標定点測定機 購入:100万円〜

レンタル:約10万円/月

購入:100万円〜

レンタル:約10万円/月

データ解析ソフト 20万〜50万円 20万〜50万円
ドローン保険 賠償責任保険/数千円〜2万円前後

機体保険/数万円〜

賠償責任保険/数千円〜2万円前後

機体保険/数万円〜

諸費用 メンテナンス費用:3,000円 メンテナンス費用:3,000円
合計 約240万円

(ドローン本体100万円、標定点測定機100万円、データ解析ソフト30万円、保険3万円として計算)

約490万円

(ドローン本体100万円、標定点測定機100万円、データ解析ソフト30万円、保険3万円として計算)

 

自社でドローン測量に必要な機材を取り揃える場合、写真による測量で約240万円、レーザー測量の場合は約490万円の導入コストがかかります。

 

ドローンのなかには数万円程度の安価なものもありますが、精度が求められる測量では、最低でも20万円以上のモデルが望ましいでしょう。

 

また、高精度な測量が可能なシステムを搭載したドローンは、100万円前後が相場となっています。

専門業者に外注する場合

ドローン測量に必要な機材を自社で購入する場合、写真測量であっても約240万円程度の初期費用がかかります。

 

また、ドローン測量は機材を揃えるだけでなく、測量技術を持った操縦者を見つけなければならない、飛行方法や飛行空域によっては許可や承認が必要となるなどのハードルもあります。

 

そこで、導入コストや手間を省いてドローン測量を実施したい場合は、専門業者に外注するのも選択肢の一つです。

 

ドローン測量の外注費は以下のとおりです。

  • 写真測量:平地4ha(データ解析含む)50万円程度
  • レーザー測量:平地1ha(データ解析含む)50万程度

 

導入コストや維持費がかからないうえに、撮影やデータの解析なども任せられます。また、測量の精度も期待できることがメリットです。

 

▶【全国対応】ドローン測量業者を探す

ドローン測量の手順

最後に、ドローン測量の手順を解説します。

 

ドローン測量の一般的な手順は以下のとおりです。

 

  1. 現地調査を実施する
  2. 飛行ルートを作成する
  3. GCP(対空標識)を設置する
  4. ドローンで測量を行う
  5. 専用ソフトで解析
  6. 成果物の作成・納品

現地調査を実施する

まず、ドローン測量を実施する前に現地調査を実施します。

 

ドローンを飛ばすときは、飛行空域や飛行方法によって航空法や小型無人機等飛行禁止法が関係し、飛行禁止区域が定められていたり、飛行前に許可や承認が必要となったりするケースがあります。

 

そのため、事前に許可や承認が必要なのかなどを確認する必要があるのです。

 

また、現地調査で写真測量とレーザー測量のどちらが適しているのかを確認します。

飛行ルートを作成する

現地調査が終わったら、測量を実施するための飛行ルートを作成します。

 

飛行ルートとは、ドローンを飛ばす道筋のことで、どのようなルートをどのような高度で飛ばすのかを決める工程を指します。

 

最適な飛行ルートは測量方法やドローンの性能によって変わり、飛行ルートによって測量の精度が変わる重要な工程であるため、正確なルート作成を意識しましょう。

標定点(GCP)を設置する

標定点(GCP)とは、座標がわかっているポイントのことであり、この標定点を設置していくのが次の工程です。

 

なお、標定点の配置は公共測量マニュアルで定められています。

ドローンで測量を行う

ここまで準備ができたら、いよいよドローンで測量を行う工程となります。

 

ドローン測量は、基本的にあらかじめ作成した飛行ルートに沿って飛ばしますが、地形によってはルートに従わず、操縦して計測しなければならないこともあります。

 

飛行ルートを決めているからと安心することなく、モニターから計測状況を確認するようにしましょう。

専用ソフトで解析

ドローンで撮影したデータを、専用ソフトで解析し3Dデータを作成します。

 

3Dデータ作成のほか、撮影写真を繋ぎ合わせたり、距離や免責、角度などを計測したりするのもこちらの工程で実施されます。

成果物の作成・納品

解析が終わったら、3Dデータなどの成果物を納品して終了となります。

 

以上が一般的なドローン測量の流れとなります。どのような流れで実施するのか把握しておくことで、スムーズな測量を実施することにつながるでしょう。

まとめ

今回は、ドローン測量について解説しました。

 

ドローン測量とは、地上からの測量と、航空機を使った測量の中間的位置づけとなる、バランスのよい測量方法です。

 

また、建設や土木工事現場において、測量にかかるコスト削減や安全性向上などが期待できることから、ドローン測量が注目されています。しかし、必ずしも費用を抑えられるわけではないことや、天候に左右されやすいといったデメリットもあります。

 

なお、自社で機材を揃えて実施する場合は、高額な導入コストがかかります。測量の精度やコスト面から専門業者に依頼するのもおすすめです。

 

ぜひ今回の記事を参考に、ドローン測量について検討してみてください。

 

また、ドローン業者にお見積りやご相談を希望の方はお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

 

▶【全国対応】ドローン測量業者を探す

 

掲載をご希望の事業者さま