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建物のオーナー、所有者のなかには、
「大規模修繕をするときってどんな法律が関係する?」
「大規模修繕って法律で義務づけられているの?」
など、大規模修繕に関する疑問を持っている方も多いでしょう。
大規模修繕は、建物の安全性を確保したり、建物の価値を維持・向上させたりするうえで欠かせないものですが、さまざまな法律が関係します。
そこで今回は、大規模修繕で押さえておくべき法律について解説します。ぜひ最後までご覧ください。
大規模修繕は法的な実施義務がありません。とはいえ、大規模修繕を実施することは建物の維持管理に必要不可欠であると言えます。まずは、大規模修繕を実施する目的を見ていきましょう。
【大規模修繕の目的】
マンションをはじめとする建物は、築年数が経つごとにさまざまな箇所が劣化していきます。放っておくとさらに劣化が進行し、雨漏りや外壁の剥がれなどにつながるおそれがあります。
劣化や不具合が深刻化した建物は、建物の居住者(利用者)の快適性・安全性を損なうだけでなく、資産価値を低下させることにもつながります。
そこで、建物の安全性向上や資産価値の維持・向上、利用者の快適性向上などを目的として、大規模修繕で築年数の経過による劣化や損傷を修繕するのです。
また、良好な状態の建物が維持されることで、マンションの場合は退去率の減少や入居率アップによる空室リスク軽減も期待できます。
大規模修繕を実施するうえで、押さえておくべき法律は以下の4つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
建築基準法とは、建物を建てる際の敷地、構造、設備、用途に関する最低の基準を定めた法律のことです。
建築基準法で大規模修繕に関わる項目は以下の2つです。
それぞれの項目について詳しく解説します。
建築基準法の第一章では、大規模修繕について以下のように定義付けています。
引用:昭和二十五年法律第二百一号 建築基準法|e-Gov法令検索
主要構造物とは、「壁・柱・床・梁・屋根・階段」のことです。また、修繕とは既存の材料と同じ物を使用し、建物内の劣化部分を修繕することを指します。
つまり、主要構造物の1箇所以上を半分以上修繕すると、大規模修繕に該当します。
建築確認申請とは、対象となる建物の修繕計画が建築基準法をクリアしているかチェックする手続きのことです。
後ほど詳しく解説しますが、建築基準法の定める基準に該当する建物の大規模修繕を実施するときは、事前に建築確認申請が必要となります。条件に該当しているにも関わらず、建築確認申請を行わないまま大規模修繕を着工することはできません。
建築確認申請を提出し、基準を満たしていることが認められれば確認済証を受け取れます。確認済証が交付されたら、大規模修繕を着工し、中間検査、完了検査を経て検査済証を受け取る流れとなります。
区分所有法とは、マンションやビルのように一つの建物をいくつかの部分に分けて所有するときの所有関係や管理の考え方、方法を定めた法律のことです。「建物区分所有法」「マンション法」と呼ばれることもあります。
区分所有法のなかで、大規模修繕は特別決議という項目で関係します。
具体的には、大規模修繕を行う必要性や箇所について、専門家を交えて検討し、最終的には区分所有者が参加する集会における過半数で実施を決定するというものです。
しかし、共用部分を大きく変更する大規模修繕は特別決議が必要となり、区分所有者及び議決権の4分の3以上の賛成が必要となります。
マンション管理適正化法とは、マンションの生活環境を整えて適切な管理を行うことを目的とする法律です。マンション管理適正化法に基づき、マンション管理計画が一定の基準を満たす場合に地方公共団体の認定を受けられる「マンション管理計画認定制度」という制度があります。
「マンション管理計画認定制度」の認定の可否は、以下の4つの基準によって判断されます。
引用:平成十二年法律第百四十九号 マンションの管理の適正化の推進に関する法律| | e-Gov法令検索
マンション管理適正化法で大規模修繕などの管理業務が適正に行われれば、建物の資産価値の維持・向上や居住者の安全を守ることにつながるでしょう。
マンション建て替え円滑化法とは、建て替えや取り壊しなどのマンション再生をスムーズに行うための手続きやルールを定めた法律のことです。
マンション建て替え円滑化法のなかで大規模修繕は直接的な関係があるわけではないものの、耐震強度の問題や、建築基準法を満たしていないなど、大規模修繕では対応できない問題がある場合は建て替えや取り壊しが必要になるでしょう。
先に解説したとおり、「建築基準法第6条の1号〜3号建築物」に該当する建物の大規模修繕を実施するときは、確認申請が必要です。
なお、対象となる建物は、建築基準法第6条で以下のように定められています。
参考:昭和二十五年法律第二百一号 建築基準法|e-Gov法令検索
これらの建物の大規模修繕もしくは大規模な模様替えを実施する場合、建築確認申請が必要となります。
大規模修繕の必要性について理解しているものの、費用面が気になる方も多いでしょう。
大規模修繕の費用は、建物の規模や築年数、工事内容などで変わります。国土交通省の『令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査』によると、1戸あたりの工事金額は100〜125万円の割合が最も高く、次いで1戸あたり75〜100万円、125〜150万円となっています。
工事回数別にみると、1回目は1戸あたり100〜125万円、2回目は1戸あたり75〜100万円、3回目以降は1戸あたり75〜100万円の割合が最も高くなっています。
仮に1戸あたりの大規模修繕の費用を110万円とすると、住戸数20戸の規模のマンションなら2,200万円、住戸数100戸なら1億1千万円がおおまかな目安です。
このように、大規模修繕は膨大な費用がかかることがわかります。とくに従来の点検方法では、足場が必要になるうえに、建物全体を作業員が手作業で点検する必要があるため、膨大な時間や工数がかかることから費用も高額になるのです。
そこで最近では、ドローンの活用が注目されています。高性能カメラを搭載したドローンで建物を撮影することで、建物の劣化状況を短時間で効率的にチェックできます。足場が不要であるうえに、作業員数も数名で済むため、点検時間の短縮やコスト削減が期待できるでしょう。
ドローンで建物の修繕を行うことはできませんが、大規模修繕を実施するうえで劣化状況を確認するのに有効な手段であるといえます。
なお、ドローンによる点検については以下の記事をご覧ください。
関連記事:ドローン点検とは?メリット・デメリットや点検事例、費用相場を詳しく解説
関連記事:大規模修繕にかかる費用は?工事の流れや払えない場合の対処法を解説
今回は、大規模修繕に関係する法律について解説しました。
建築基準法において、大規模修繕は建築物の主要構造部の一種以上に行う過半の修繕をすることであると定義しています。
大規模修繕の実施は法律で義務付けられているわけではありません。しかし、建物の安全性確保や資産価値の維持・向上を目指すうえでは必要不可欠なものであるといえるでしょう。
なお、大規模修繕は建築基準法のほか、区分所有法やマンション建て替え円滑化法、マンション管理適正化法などが関係するため、実施前に各法律について確認し、適切に進めていくことが大切です。
また、ドローン業者に点検のお見積りやご相談を希望の方はお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。