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発電所で作られた電気は、送電線や鉄塔などの送電設備を通して住宅や施設に送られています。
そして、電気を安全かつ安定して送り続けるためには、送電設備の保守・点検が欠かせません。たとえば、送電線に飛来物が引っかかったり、劣化が見られたりする場合は、大規模な停電や火災などにつながる場合があるため、早急に対処が必要です。
ただ、従来の送電線点検では課題や問題が多く、最近ではドローンを活用するケースが増えています。
そこで今回は、送電線点検の現状やドローンを活用するメリットや課題などを解説します。
送電線や鉄塔は大規模なインフラ設備であり、国と事業者が協議したうえで点検が実施されています。
従来の送電線点検は、送電線がある場所などに応じて、以下の3つから最適な方法が選択されています。
このように、いずれの方法であっても従来の送電線点検はほとんどが手作業によって行われているため、以下のような点が課題となっていました。
また、従来の方法では、点検時に通電をストップさせる必要があり、非効率であることも指摘されています。さらに、ヘリコプターを使った点検方法は、撮影した動画を保守作業員が1/10のスロー再生をしながら確認しなければなりません。
このように、従来の送電線点検は複数の問題をかかえながら実施されているのです。
従来の送電線点検は、さまざまな問題点があることから、ドローンを使った送電線点検が注目されています。
しかし、すべての送電線点検がドローンで実施されているわけではありません。では、ドローンを使った送電線点検の現状を見ていきましょう。
ドローンを導入することで、従来の送電線点検の課題を解決できると期待されており、大手電力会社10社では従来の方法からドローン点検に置き換えていこうとする動きがあります。
ただ、自動飛行によるドローン点検がむずかしいケースもあり、主に目視操作で点検を実施し、一部で自動飛行を取り入れているケースが一般的です。そのため、自立飛行によるドローンの送電線点検は実証段階であるといえるでしょう。
というのも、送電線にはたるみがあり、たるんでいる部分をドローンが自動で判断して飛行することがむずかしいからです。そのため、現在ではドローン事業者と送電線点検で自立飛行が可能なドローンが開発されている状況です。
自立飛行によるドローンの送電線点検は実証段階であると解説しましたが、中国電力ネットワークはドローンの自立飛行による送電線点検の実証に成功しています。
【実証試験の概要】
以上のような実証試験が行われ、ドローン機体性能や計画したルートと実際に飛行させたときのルートの誤差、撮影映像の確認などが検証されました。
「レベル3」と呼ばれるオペレーターの補助なしによる目視外飛行を行うという国内初の試みでしたが、安全かつ安定した飛行が実施できていること、ヘリコプターで撮影するのと変わらない高性能な映像が撮影できることなどが証明されました。
中国電力ネットワークでは、立地を変えながら検証を重ね、本格的な運用を目指すとしています。
ドローンの送電線点検はさまざまなメリットが期待できることから、実用化に向けて、各電力会社が実用化に取り組んでいます。
では、送電線点検にドローンを導入することで、どのようなメリットが期待できるのか見ていきましょう。
ドローンによる送電線点検は、従来の点検で欠かせなかった作業員の代替になるため、人が行っていた作業をドローンで実施できることからコストの削減が期待できます。
さらに、直接送電線に触れる必要がなくなるため、点検中に通電を止める必要がないことも効率アップにつながるでしょう。また、ヘリコプターを使って点検を実施する場合は膨大なコストがかかりますが、ドローンであれば地上から飛ばすだけなのでコスト削減が期待できます。
さらに、宙づり点検では、作業員が手作業で少しずつ点検を進めていくため時間がかかりますが、ドローンなら広範囲をまとめて点検できることから、点検時間の短縮にもつながります。
送電線点検をドローンで実施することで、送電線の上に直接登る必要がなくなるため、点検時の安全性向上が期待できます。
宙づり状態で点検を実施する場合、安全に配慮したうえで点検を実施するのはもちろんですが、感電や落下による事故が起こらないとは言い切れません。
しかし、ドローンを使えば、人が送電線に触れることなく点検が完了するため、事故のリスクを大幅に軽減できます。
ヘリコプターや地上から送電線を点検する場合、一定の方向からしか送電線を点検できません。
しかし、ドローンは機体が小さく小回りが効くため、さまざまな角度から送電線を撮影できます。さらに、最近のドローンに搭載されているカメラは高性能なものが多いことから、撮影データを詳細に解析できることもあり、精度の高い点検が可能です。
ドローンで送電線の点検を実施することで、点検データを保管できることもメリットといえるでしょう。
蓄積したデータから、どのような経年変化が起こっているのかを把握できます。
従来の点検方法では、安全性を考慮して送電線の通電を止めてから点検しなければなりませんでした。しかし、ドローンによる点検なら、非接触での点検が可能であるため、通電を止めずに点検が可能です。
点検中も通常通り送電線を使えるため、効率的に点検できることもメリットとして挙げられます。
ドローンによる送電線点検はさまざまなメリットがありますが、課題もあります。
ここでは、ドローンで送電線点検を行う際、どのような課題があるのか見ていきましょう。
ドローンで送電線点検を行う際、目視操作か自動飛行かによって必要な機体が変わります。
ドローンを目視操作して送電線を点検する場合、一般的なドローンでも問題ありませんが、自動飛行で実施する場合は高性能なドローンが必要となります。たとえば、送電線のたるみを検知して避ける機能は必須となるでしょう。
また、送電線は距離が長いため、連続飛行時間の長い機体が求められることもポイントです。たとえば、産業用ドローンのなかには、エンジン式、バッテリー式、ハイブリッド式などさまざまな種類があり、1時間以上の連続飛行が可能なものもあります。
点検する環境に合わせて、自動飛行が必要か、駆動方式や必要な飛行時間などから、機種を絞っていくと、結果的に高性能なドローンが必要になることが基本となるでしょう。
ドローンを安定して飛行させるためには、電波が欠かせません。しかし、山間部などで電波が不安定なエリアにある送電線も多いため、その場合はLTE対応の機体が必要となります。
LTE回線を使うと、ドローン自体がインターネットに接続されるため、操縦機とドローンが接続されていなくても、安定した目視外飛行が可能となります。
ただし、LTE対応の機体はそれほど多くないことに加え、LTEさえも届かないエリアもあり、その場合は点検が困難になることが課題となっています。LTEを使用できないエリアについては、衛生通信を利用する、鉄塔にアンテナを付けるといった対応が検討・実証されていますが、コスト面などが問題となっています。
今回は、ドローンによる送電線点検について解説しました。
従来の送電線点検は、危険を伴うことや、点検時間やコストがかかることなどが問題となっていましたが、ドローンを活用することで、従来の点検方法のさまざまな問題点を解決できるとして注目されています。
実際に、大手電力会社では、ドローンを使った送電線点検の実用化に取り組んでおり、今後普及していくことが予想されます。
ぜひ今回の記事を参考に、ドローンを使った送電線点検を検討してみてください。
ドローン点検のメリット・デメリットや事例については、以下の記事でも詳しく解説しています。
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