簡単なアンケートに答えて見積もりスタート
厳選ドローン業者をご紹介
近年、下水道の老朽化や安全面のリスクを伴う点検方法など、下水道の維持管理は大きな課題を抱えています。
そんな中、注目を集めているのがドローンを活用した下水道点検です。狭い管内でも自在に飛行し、マンパワーを必要としないドローンは、従来の下水道点検の課題を解決する可能性を秘めています。
今回は、ドローンによる下水道点検のメリットやデメリット、下水道点検にドローンを活用している事業者を紹介します。今後の課題についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
全国の下水道管の総延長は、国土交通省によると約49万km(令和4年度末時点)といわれています。そしてそのうちの約7%にあたるおよそ約3万kmの下水道が、標準耐用年数の50年を経過しています。
老朽化した下水道は今後さらに増え、それに伴い老朽化を原因とした陥没事故の危険性も増すと考えられています。2025年1月に発生した埼玉県八潮市の道路陥没事故が記憶に新しい方もいるでしょう。
施設そのものの老朽化に加えて、下水道職員数の高齢化による不足・減少も叫ばれています。下水道職員が減少する中で、どうやって適切な管理維持を行っていくかが課題です。
下水道の点検は、主に以下の2種類の方法で行われます。
どういうものか、それぞれ見ていきましょう。
管内潜行目視調査は、下水道管の内部に作業員が直接入り、目視で管内の状態を確認する調査方法です。内部に入る前にスクリーニング調査を行い、大きな損傷個所があった場合に実施します。
管内潜行目視調査は、主に直径1m以上の大きい下水道管で行われ、ひび割れや壁面の状態、土砂の堆積などを細かく調べます。
カメラだと捉えにくい微細なひび割れや異物の付着を確認できる点がメリットですが、急な増水や有毒ガスの発生など、作業員の安全面のリスクがあるほか、人件費といったコストが高くなりがちな点がデメリットといえます。
本管テレビカメラ調査は、専用の自走式カメラを下水道管に投入し、映像をリアルタイムで確認しながら下水道管内の状態を確認する調査方法です。
直径が小さく、人が入れない下水道管にも対応でき、マンパワーに頼らない分安全かつ効率的です。現在、本管テレビカメラ調査はスクリーニング調査の主流となっています。
本管テレビカメラ調査は、安全性が高く詳細なデータを取得できる点がメリットです。ただし、下水道管内の汚れが多い場合は事前に洗浄が必要なほか、カメラの死角では見落としが発生する可能性があります。
現在、下水道点検にドローンを活用しようという動きが広がりつつあります。
ドローンによる下水道点検は、小型の飛行型・走行型のドローンを下水道管内に投入し、カメラやセンサーで管内の状態を調査するものです。従来の下水道点検では難しい、もしくは危険性が高い場所の点検も可能になるのではと期待されています。
ドローンは、主に直径1m未満の細い下水道管の点検に適しています。
従来の調査方法では、作業員が入れないような細い下水道管の点検には専用の自走式カメラを使っていました。ドローンであれば、カメラだと難しいような複雑な配管や長距離の点検も可能です。
また、センサーを搭載したドローンなら、下水道管内部の腐食やひび割れ、詰まりといった異常を高い精度で検出できるでしょう。
下水道管の中は暗くて狭く、空気の流れも不安定です。上空で一定の高さと位置で停止するホバリングをしながら点検を行うドローンは、狭い空間だと自身のプロペラで巻き上げられた風にあおられ、安定して飛べなくなる恐れがあります。
また、見通しの悪い場所ではわずかな衝突でもバランスを崩す可能性があるため、高い安定飛行性能や障害物検知性能は必須です。
現在販売されているドローンで、下水道点検に使えるものを3点ピックアップして紹介します。
引用:https://liberaware.co.jp/ibis2/
大きさ | L194mm×W198.5×H58mm |
重量 | 243g(機体:150g、バッテリ:93g) |
最大飛行時間 | 11分 |
耐風性能 | 3m/s |
開発元 | Liberware社 |
Liberware社が開発した「IBIS2」は、点検専用に作られた世界最小クラスのドローンです。
「狭い」「暗い」「危険」な場所の点検業務に特化したドローンで、下水道管以外にも工場やプラントの設備点検に用いられています。
IBIS2は独自開発した飛行制御システムにより、入り組んだエリアや狭くて暗い設備の最深部にも安定飛行で侵入可能です。防塵性能や水滴への耐性も高いので、がれきの下などの悪状況でも鮮明な画像を撮影できます。
また、エクステンションアンテナが搭載されているので、電波の届かない場所を無線環境にできる点も魅力です。
引用:https://product.acsl.co.jp/product/post-435/
大きさ | L610mm×W290mm×H145mm |
重量 | 2.4kg |
最大飛行時間 | 約4分 |
耐風性能 | 3m/s |
開発元 | ACSL社とNJS社の共同開発 |
ACSL社が開発した「Air Slider® Fi4」は、下水道管内などの閉鎖空間の点検業務に特化したドローンです。
Air Slider® Fi4の特徴は、過酷な調査環境に対応した耐久性の高さと、優れた操作性です。
機体のコア部分には軽くて丈夫なカーボンを使用し、軽量かつ高強度な機体を実現しました。また、水面から浮上するバンパー部分には交換可能なEPP素材を使うことで、メンテナンス性も上がっています。
また、直進型のプロペラを搭載しているため、閉鎖された狭い空間でも前方に動かしやすいなど、操作性の高さも魅力です。専用のアプリを搭載したスマートコントローラーで、管内の状況をリアルタイムで確認できます。
引用:https://www.blue-i.co.jp/elios2/
大きさ | 直径400mmの球形 |
重量 | 1450g |
最大飛行時間 | 10分以内 |
耐風性能 | 6.5m/s |
開発元 | Flyability社 |
Flyability社が開発した「Elios2」は、上下水道管内やプラントの煙突内部といった狭い屋内空間の点検に特化したドローンです。
機体全体を覆う球形のガードは、本体と固定されています。ガードが対象物に接触してバランスが崩れることのないよう、Elios2は本体の7ヵ所にセンサーを搭載。センサーで対象物との距離を一定に保つことで、入り組んだスペースでも安定して点検が可能です。
また、静止画撮影機能のほか、歪み補正機能、測定機能、3Dモデリング作成機能によって、点検の計画から報告書の作成まで一貫して行えるようになっています。
ドローンによる下水道点検には、以下のようなメリットがあります。
1つずつ見ていきましょう。
下水道管内は狭く、ガスの充満や崩落、突然の増水といった危険があるため、人が入る点検はリスクが伴います。
ドローンを使用すれば、作業員が危険な環境に入る必要なく下水道点検ができます。老朽化した下水道管や深い地下にある下水道などは、事故のリスクが高いですが、ドローンであればこうした状況でも安全に点検できるでしょう。
また、センサーを搭載したドローンなら、ガスの検知や異常の早期発見も可能です。
従来の下水道点検では、作業員が管内を移動しながら調査するため、多くの時間がかかっていました。
しかしドローンなら、短い時間で広範囲を点検できるため、作業効率が大幅にアップします。複雑な配管や長い距離の点検はマンパワーだと時間がかかりますが、ドローンなら短時間で必要なデータを収集できます。
下水道点検が迅速に完了することで、交通規制や住民への影響を最小限に抑えられる点もメリットです。
下水道点検には熟練した技術が必要で、素人がすぐにできるものではありません。しかし冒頭でも触れたように、現在下水道職員は減少傾向にあり、人手不足が深刻化しています。
ドローンを活用すれば、作業員の負担を減らし、少人数でも効率的な点検が可能になります。また、遠隔操作や自動飛行機能を使用すれば、経験が少ない作業員でも点検内容を分析しやすくなるでしょう。
点検用のドローンには、高解像度カメラや赤外線センサーが搭載されているため、下水道管内のひび割れや腐食、異物の付着などを詳細に調査し、記録できます。
このデータを蓄積すれば、老朽化の進み具合を把握でき、適切なタイミングの修繕計画を立てられるでしょう。また、AI解析技術と組み合わせれば、劣化の兆候を自動検出し、将来の損傷リスクの予測が可能です。それにより、下水道の計画的な維持管理がしやすくなります。
一方で、ドローンによる下水道点検には以下のようなデメリットもあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ダウンウォッシュとは、飛行型ドローンのプロペラが回転することで発生する下向きの風のことです。
下水道の管内でダウンウォッシュが起こると、ホコリやガスが巻き上がり、点検映像が見づらくなったりドローンの姿勢が不安定になったりする恐れがあります。また、ダウンウォッシュによって機体が壁に吸い付けられ、操作不能になる可能性も。
こうした事態を避けるためにも、ドローンの安定飛行性能は必須です。プロペラの設計の工夫や、センサーによるバランス補正技術が求められます。
下水道は地中にあるため、通信電波が届きにくいという問題があります。
特に長距離の下水道や曲がりくねった配管では、ドローンの操作信号が途切れるリスクが高くなります。こうしたリスクを防ぐためには、中継機の設置やドローンに自律飛行機能を持たせるといった対策が必要です。先ほど紹介したIBIS2のようにエクステンションアンテナを設置するのも有効でしょう。
また、電波が届かなくなった場合でも、事前に設定したルートを自動で戻る「自動帰還機能」が重要になります。
下水道管内は湿度が高く、ぬかるみや水たまりもあるため、ドローンが故障したり、動けなくなったりするリスクがあります。
特に走行型ドローンは泥や異物に引っかかる可能性があり、万が一動かなくなった場合、回収しなければなりません。人が通れない場所だと、機体の回収は困難となるでしょう。
こうしたトラブルを防ぐには、ドローンの防水・防塵性能を高める、障害物検知機能を搭載する、トラブル時に自動帰還するシステムを備えるといった対策が必要です。
首都圏でドローンの下水道点検を行う業者として、以下の4社が挙げられます。
1つずつ見ていきましょう。
会社名 | 株式会社FINDi(ファインドアイ) |
設立 | 2021年5月 |
本社所在地 | 東京都港区芝浦1丁目1番1号 |
電話番号 | 03-6324-4342 |
公式URL | https://www.findi.co.jp/ |
※2025年3月時点
株式会社FINDiは、下水道や発電所、ダム、橋梁、道路など、さまざまなインフラ設備の点検調査を行う企業です。
同社は直径5mの大口径管路にも対応可能な新型ドローン「Air Slider® Fi4」や、水上走行式カメラ「Water Slider®W4」といった先進技術を駆使し、下水道管の点検・調査の実績を積み重ねています。 現地調査からデータの解析まで、一貫したサポートを提供している点が特徴です。
また、技術者育成のための講習やセミナーの開催を行うなど、ドローンの普及活動にも力を入れています。
引用:https://www.dek.co.jp/index.html
会社名 | 株式会社デック |
設立 | 1961年4月1日 |
本社所在地 | 神奈川県横浜市中区相生町6丁目102番地 |
電話番号 | 045-671-1661 |
公式URL | https://www.dek.co.jp/index.html |
※2025年3月時点
株式会社デックは、水道・ガス・電気などのライフラインの設計・施工・点検を専門とする技術者集団です。
同社は下水道点検の効率化と安全性向上のため、点検用小型ドローン「IBIS」を活用しています。従来、人が腹這いで進入していた直径約80cmの下水道管内の点検作業をドローンで代替することで、作業時間を約1/3に短縮しています。
また、老朽化した水道管の更新では、既設管内に新しい鋼管を挿入し、溶接・塗装で仕上げる「PIP工法」を採用。この工法は道路の大規模な掘削が不要で、交通への影響を最小限に抑えることが可能です。
引用:https://www.jun-techno.com/
会社名 | 株式会社ジュンテクノサービス |
設立 | 2017年1月 |
本社所在地 | 埼玉県川越市大塚1丁目6-27 |
電話番号 | 049-265-8651 |
公式URL | https://www.jun-techno.com/ |
※2025年3月時点
株式会社ジュンテクノサービスは、ドローンを活用したインフラ点検や調査を行っている企業です。
同社は、下水道管の点検に水中ドローンを使用しています。 狭小部や危険箇所の点検にマンパワーを必要とせず、安全性が高く効率的な点検が可能となっています。さらに、水中設備の状態を水を抜かずに確認できるため、調査コストを抑えられる点も魅力です。
また、株式会社ジュンテクノサービスはドローンオペレーターの育成にも注力。安全で高品質なサービス提供を支える人材の確保と技術力の向上を図っています。
引用:https://www.kyoei.co.jp/system.html
会社名 | 株式会社協栄システム |
設立 | 1983年3月30日 |
本社所在地 | 東京都品川区東品川4-12-6
品川シーサイドキャナルタワー |
電話番号 | 03-4241-8856 |
公式URL | https://www.kyoei.co.jp/system/ |
※2025年3月時点
株式会社協栄システムは、ハードウェアの設計・製造からソフトウェアの開発、保守・サポート、インフラの点検・調査まで、幅広い事業を展開する企業です。
同社は、飛行ドローンや水中ドローン、管渠点検ロボットを活用したインフラ調査を実施しています。対象は下水道から発電所、ため池、山間部まで幅広く、作業員の立ち入りが困難な危険個所の点検も行っています。
協栄システム株式会社は、2024年12月に行われた政府機関による下水道管路調査機器の評価試験に、点検ロボットのパイロットとして参加しました。ロボットの性能の実証を通して、技術力と信頼性の向上に努めています。
今後、ドローンを活用して下水道点検を行おうと考えている事業者の方も多いでしょう。
下水道点検にドローンを導入する際は、まずメーカーやサービスの提供会社に直接コンタクトを取ることをおすすめします。
ドローンによる下水道点検は、運用方法がまだしっかりと定まっておらず、言うなれば黎明期です。販売店で簡単に購入できる汎用機ではないため、ドローンを導入する場合は、メーカーと点検業者が二人三脚で運用していく形になるでしょう。
点検業者が実際に下水道点検でドローンを活用し、そのフィードバックをもとにメーカーが機体や性能をどんどんブラッシュアップしていくイメージです。
ドローンによる下水道点検はメリットが多いですが、普及にはまだまだ課題があります。具体的な課題は以下の通りです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
課題の1つが、自治体の予算不足です。下水道の維持管理には多額の費用がかかるため、自治体は老朽化対策や修繕を優先し、ドローンのような新技術の導入にまで資金を回しづらい状況にあります。
また、ドローンの導入には機体の購入費や操縦者の研修費、運用管理費といったコストがかかるため、従来の点検方法と比べて初期投資が高額になりがちです。そのため、ドローンのメリットを理解しながらも、財政状況が厳しい自治体では、予算の制約から導入を見送るケースが多く見られます。
2つ目の課題は、自治体や点検業者の知見不足です。ドローンを活用した下水道点検は比較的新しい技術であり、多くの自治体や点検業者にまだ十分な知見が蓄積されていません。産業ドローンの存在を知っていても、自分たちの点検業務で運用するイメージが浮かびづらい現状もあるでしょう。
また、下水道点検にドローンを導入するには、法規制の理解や安全運用のためのガイドライン策定も必要であり、自治体単独で進めるのは困難です。このような知見不足が、結果的にドローンの普及を遅らせる要因となっています。
ドローンによる下水道点検は、導入が始まったばかりの新しい技術です。普及には課題が残るものの、安全性を確保しながら効率的に点検を進められるなどメリットも多く、設備の老朽化と人手不足が深刻な下水道点検の新たなソリューションになるでしょう。
ドローンガイドでは、ドローンを活用する点検専門業者を全国から探すことができます。ドローン業者に点検のお見積りやご相談を希望の方はお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。