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マンションの建物・設備は、法律で定められている「法定点検」を実施しなければなりません。
法定点検は、点検の対象箇所によって「建築基準法」「消防法」「水道法」という3つの法律が関係しています。なかでも、建築基準法に関係する法定点検は「12条点検」と呼ばれ、基礎や外壁、設備、昇降機などが点検項目に該当します。
ただ、マンションの定期点検は時間やコストがかかることに悩んでいるオーナーや管理者の方も多いでしょう。
そこで今回は、マンションの外壁点検をドローンで実施可能か、メリット・デメリット、従来の点検方法との違いなどを解説します。
一般的な戸建ての場合、外壁に劣化症状が表れてから点検や補修を実施するケースが多いでしょう。しかし、マンションの場合、劣化症状が表れる前から定期点検を実施するよう義務付けられています。
マンションは外壁点検が義務付けられているとはいえ、
「高額な点検費用がかかるし、できるだけ先延ばしにしたい」
「点検って本当に必要なの?」
と考えているオーナーの方も多いのではないでしょうか。
ここでは、なぜマンションの外壁点検が必要なのかを解説します。
マンションの外壁を定期的に点検することで、建物の耐久性の向上につながることが理由の一つです。
外壁に異常が表れてから点検するというサイクルでは、すでに劣化が進んでいる状態を補修することになります。また、劣化症状に気が付かなければ、知らない間に深刻化する可能性があるでしょう。
劣化症状が進んだまま放置していると、最終的に大規模な修繕が必要になり、莫大な手間やコストがかかるケースも少なくありません。
一方、定期的に外壁点検を実施すれば、劣化症状を早期発見できます。劣化の軽い段階で補修できれば、簡単な補修で済むため補修費用を抑えられるうえに、常に良い状態の外壁を維持することができ、結果的にマンションの耐久性アップにつながるのです。
事故を未然に防げることも、定期的に外壁調査を行う理由として挙げられます。
マンションは戸建てとは異なり、不特定多数の人が利用する建物です。
仮にマンションの外壁タイルが劣化で剥がれ落ちれば、周辺にいた人にぶつかって人身事故になる可能性があるでしょう。このように、点検を怠ると建物に関係のない人を事故やトラブルに巻き込んでしまう可能性があります。
そこで、定期的にマンションの外壁を調査し、常にメンテナンスしておくことで、事故の未然予防や居住者の安心を維持することに直結するのです。
マンションの外壁点検は、建築基準法第12条によって定められており、「法定点検」「12条点検」などと呼ばれています。
なお、建築基準法第12条により、外壁を含む建築物や昇降機などの定期調査・検査を実施するだけでなく、その結果を報告するよう義務付けられています。では、点検の周期や方法などを見ていきましょう。
【マンションの外壁調査の種類】
【マンションの外壁調査のタイミング】
上の項目のとおり、マンションの外壁調査には2種類あります。
1つ目の特定行政庁に報告タイミングは、建築基準法12条において「おおむね6か月〜3年の間隔をおいて、特定行政庁が定める時期」となっており、具体的な周期は明示されていません。
しかし、1〜3年に一度、報告が必要となる「特殊建築物定期調査」において、外壁の定期調査(目視・打診調査)が行われ、劣化や不具合がないか調べて報告するのが一般的です。この調査において、外壁にひび割れや欠けなどの危険個所が発見された場合、さらに詳細な点検を行い、補修を進めていきます。
2つ目の全面打診調査は、マンションの完成後、もしくは大規模外壁改修後・全面打診調査後、10年を越えている場合に実施するよう決められています。
【全面打診等調査の対象となるマンションの外壁材】
【全面打診等調査を行うべき範囲】
落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分
こちらがマンションの外壁点検に関する主な概要です。マンションの持ち主の義務として、必ず実施するようにしましょう。
従来のマンションの外壁点検は、以下の2つがあります。
どちらの方法を選択するかは、マンションの管理者・オーナーが自由に選択可能です。しかし、点検方法によって必要な工数や特徴が異なるため、違いを把握しておくことが大切です。
では、打診調査と赤外線調査の特徴や違いを見ていきましょう。
打診調査による外壁点検は、ハンマーなどの専用の道具を用いて外壁を叩き、打診音によって外壁の状態を調査する方法です。
専用の道具で外壁を叩くと、劣化症状に応じて音の高低が変化します。また、打診調査を実施すると同時に、目視調査や触診調査も実施されるため、外壁全面に不具合がないか細かくチェックできることが特徴です。
なお、打診点検は作業員が安全に作業できるよう、以下のような方法で実施されます。
いずれの方法であっても、打診点検はすべて手作業で実施する必要があり、点検範囲によっては工数やコストがかかりやすいことがデメリットです。
赤外線点検とは、赤外線カメラを用いてマンションの外壁を撮影し、撮影したデータを画像解析して異常を発見する方法です。
打診調査のように、マンションの外壁に直接触れることなく不具合を見つけられることが特徴です。また、赤外線調査は地上から実施できるため、足場を組んだり、クレーン車を用意したりする必要がありません。そのため、打診点検よりも必要な工数や機材が少なく、短時間かつコストを抑えて調査できることが魅力です。
また、作業員は地上から調査するため、高所作業による危険を伴わないのもメリットといえるでしょう。
ただし、赤外線調査は、高層階になると精度が落ちる点がデメリットです。というのも、赤外線カメラで精度の高いデータを得るためには、壁面に対して垂直方向から撮影しなければならず、高層部分を調査するのは不向きだからです。
そのため、マンションの階数によっては、打診点検と赤外線調査を併用して調査されることもあります。
従来のマンションの外壁点検といえば、打診調査もしくは赤外線調査が一般的でした。しかし、それぞれの調査方法にデメリットがあり、より効率的かつデメリットをカバーできる調査方法として、ドローンによる外壁点検が注目されています。
ドローンによる外壁点検とは、赤外線カメラを搭載したドローンを使って空撮を行い、撮影したデータを解析して異常を見つける調査方法です。
ドローンによる外壁点検は、コストや工数がかかりすぎるという打診点検のデメリットをカバーしつつ、地上から実施する赤外線調査のデメリットも解消していることが魅力です。
先に解説したとおり、赤外線カメラで精度の調査をするためには、壁面に対して垂直方向から撮影しなければならず、高層階になるほどカメラの角度が傾くことがハードルとなっていました。
しかし、ドローンを使って撮影する方法なら、高層階でも赤外線カメラを壁面に対して垂直に保てます。
このように、打診調査、地上からの赤外線カメラのよる調査の両方のデメリットをカバーできることから、ドローンによる点検が注目されている背景があります。
ドローンをマンションの外壁点検に活用することで、打診点検や地上から実施する赤外線点検のデメリットをカバーできます。
ここでは、マンションの外壁点検にドローンを活用するメリットについて、詳しく見ていきましょう。
ドローンでマンションの外壁調査を実施する場合、マンション全面を細かく調査できるため、正確な修繕見積もりを出せることがメリットです。
従来の調査方法の場合、部分的な打診調査の結果や撮影データから、マンション全体の外壁に必要な修繕見積もりを出すのが一般的でした。しかし、詳細な調査を実施できていないことから、実際に修繕工事が始まると、予定していた修繕費用をオーバーするケースが多い傾向にありました。
しかし、ドローンで赤外線調査を実施していれば、修繕見積もりを作成する前に広範囲を細かく調査できるため、修繕見積もりと実際にかかる修繕費用のブレを最小限に抑えられるのです。
ドローンを使って外壁調査を実施すれば、点検記録や修繕前の外壁状態をデータとして保存できることもメリットです。
たとえば、打診点検による調査を実施し、補修後に何らかの異常が見つかった場合、点検結果しか確認することができません。つまり、過去の外壁状態を確認することができないため、もとの状態がわからなくなり、トラブルになることがあるのです。
しかし、ドローンによる外壁調査は、カメラで撮影を行うため、点検記録やマンションの外壁状態などがすべてデータとして保存できます。
点検コストの削減につながることも、ドローンによる外壁調査のメリットです。
打診方法はすべて作業員が手作業で実施するうえに、足場やクレーン車が必要になることから、調査費用が高額になりがちです。また、地上からの赤外線調査なら費用を抑えやすいですが、実施できるケースが限られています。高層マンションなどは、赤外線調査と打診調査を併用する必要があり、結果的に高額な調査費用がかかるケースも珍しくありません。
しかし、ドローンを使って外壁調査を実施すれば、操縦者さえいれば点検作業を実施可能です。足場やクレーン車も不要であるため、従来の点検方法と比較してコスト削減につながるでしょう。
ドローンによるマンションの外壁調査は、点検コストを削減できると同時に、点検時間の短縮につながることもメリットとして挙げられます。
ドローンを利用すれば、空中から広範囲を調査できるため、効率的に調査を済ませられます。また、足場やロープ、クレーン車などを準備する必要もないため、打診調査と比較して大幅な時間短縮が期待できるでしょう。
コストや時間を削減できるほか、外壁点検のリスクを軽減できることもドローンを利用するメリットの一つです。
打診点検の場合、足場を組んだり、落下防止の装備を着用したりしますが、作業者は高所作業による落下や怪我のリスクと隣り合わせで作業しなければなりません。
一方、ドローンを利用してマンションの外壁調査を実施する場合、作業員は地上からドローンを操作するだけなので安全性が高いといえます。
ドローンでマンションの外壁調査を実施すれば、従来の調査方法と比較して、コストや時間を削減しながら精度の高い調査ができることがメリットだといえます。
しかし、ドローンによるマンションの外壁調査はメリットだけではありません。では、どのようなデメリットがあるのか見ていきましょう。
ドローンによるマンションの外壁調査の場合、打診点検ができないことがデメリットの一つです。
ドローンを使って外壁調査を実施する際、搭載している赤外線カメラで異常を検知します。赤外線カメラは温度差によって不具合を見つける方法であるため、わずかな外壁材の浮きや割れでは異常が見つからないケースがあるのです。
しかし、打診点検なら、外壁の小さな欠けやひびも異音や見た目から見つけられる可能性があります。
ドローンによるマンションの外壁点検は、点検対象の建物の立地によって実施できない、もしくは制限がかかる点もデメリットです。
ドローンの飛行は航空法や小型無人機等飛行禁止法などでルールが定められており、ルールに従って飛行させなければなりません。許可や承認が必要となったり、ドローンの機体を登録しなければならなかったりと、点検前にハードルがあるのです。
また、国会議事堂や原子力発電所、外国公館等の周辺(敷地または区域および周囲約300m以内の地域)ではドローンの飛行が禁止されているため、マンションの立地によってはドローンを使った外壁調査が実施できないケースもあります。
ドローンは天候によって飛行可否が左右されることもデメリットでしょう。
ドローンは雨や風に弱く、調査実施日の天候によっては調査を別日に延期しなければなりません。防水・防塵機能を搭載しているドローンもありますが、外壁が雨に濡れた状態では、赤外線カメラの精度が下がるため避けるべきです。
なお、急な突風や大雨の影響で点検を中断せざるを得ないケースもあり、天候に左右されやすいのはデメリットといえるでしょう。
今回は、マンションの外壁点検について解説しました。
マンションの外壁は、建築基準法第12条によって、定期的な点検・報告が義務付けられています。
なお、従来は打診点検や地上からの赤外線調査が一般的でしたが、最近ではドローンによる赤外線調査を実施するケースが増加しています。ドローンを活用することで、従来の点検方法のデメリットをカバーできることが注目されている背景といえるでしょう。
ただし、ドローンによるマンションの外壁調査は、打診点検ができないことや、天候に左右されやすいこと、立地によっては制限があるといったデメリットもあります。
ぜひ今回の記事を参考に、最適なマンションの外壁調査の方法を検討してみてください。
マンションの外壁の点検だけでなくそのほかに必要な点検の種類や頻度についてくわしく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
関連記事:マンションの設備点検には何がある?種類や点検頻度、注意点などを解説
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