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    法律・規制 2024.07.29

    ドローン撮影に許可は必要?必要なケースや撮影・飛行許可の申請方法を解説

    最終更新:2024.07.29

    臨場感がありダイナミックな画を撮れるドローン撮影は、映像制作における新たな撮影手法として人気を集めています。

     

    ドローン撮影を取り入れたいけれど、どういった許可が必要なのか、どこに申請すればいいのかいまいちわからないという方もいるのではないでしょうか。

     

    今回はドローン撮影の許可は必要なのかや許可が必要なケースと申請方法について詳しく解説します。

    ドローンの免許・資格も紹介するので、ドローン撮影を検討中の方はぜひ参考にしてください。

    ドローンでの撮影自体は原則許可がいらない

     

    原則としてドローンでの撮影は、許可が必要ない場合がほとんどです。

    しかし、撮影する場所や何を映すかによって、許可が必要な場合があります。

    場所や状況によっては撮影許可が必要なことも

    具体的には、以下のようなケースで撮影許可が必要になります。

     

    1. 個人のプライバシーに影響を及ぼす場合
    2. 公共の場所や不特定多数の人が集まる場所で撮影する場合
    3. 私有地で撮影する場合
    4. 一時的に通行止め等をして大規模な撮影をする場合

     

    1の「個人のプライバシー」は、例えば通行人の顔が映ってしまったり、車のナンバープレートが映ってしまったりするケースが挙げられます。

     

    また2や3のケースは、撮影許可を得ずに撮影した場合に後々著作権法違反や民法関連でトラブルになる可能性が高いため、事前に撮影許可を取っておいた方が良いでしょう。

     

    基本的に、河川や海、道路といった場所でのドローン撮影は許可がいりません。しかし、4のケースのように大規模な撮影をする場合は許可が必要となります。

     

    関連記事:ドローンの飛行に申請は必要?条件や申請方法、ポイントを徹底解説

    ドローンの撮影許可はどこでとる?

    一般的に許可申請は、自治体や管理者などその撮影場所の土地所有者や、警察署などに対して行います。

     

    また、後述するドローンの「飛行」許可は、関連する法律によって申請先が異なります。

    具体的には、国土交通省や東京航空局(または大阪航空局)、各都道府県や市町村です。

    個人のドローン撮影であれば許可は不要?

    個人のドローン撮影であれば原則許可は必要ありません。例えば自身の私有地でドローンを飛ばして撮影するのであれば、許可は不要です。

     

    許可の要否の線引きとして、プライバシーの侵害など周囲に迷惑が及ぶ可能性があるか、周辺のスペースを独占するような大がかりな撮影をするかを軸に考えるとわかりやすいでしょう。

     

    上記でのドローンで撮影を行う場合は、撮影許可のほかに飛行許可など、さまざまな許可が必要となります。

    そのため、許可が不要なドローン撮影は制限が多いと考えておきましょう。

    ドローン「飛行」は許可が必要なケースが多い

     

    ドローン撮影に許可が不要でも、ドローン「飛行」では許可が必要なケースが多くあります。

    空の安全確保を目的に「飛行機との衝突」「建物への衝突」「人との衝突」を避けるためのさまざまな法律が制定されているためです。

     

    ドローンの飛行に関連する法律として、主に重要なのは以下の5つです。

     

    • 航空法
    • 小型無人機等飛行禁止法
    • 民法
    • 道路交通法
    • 都道府県・市町村の条例

     

    それぞれの規制内容や、許可の申請先を解説します。

    航空法

    航空法は、航空機が安全に飛行できることを目的に、航空機の妨害になりうる障害を排除するための法律です。

     

    航空法では、ドローンを含めた無人航空機の飛行が禁止されている区域や、飛行する際に許可が必要な区域が定められています。また、航空法では飛行方法にも規制があります。

    規制の概要

    飛行禁止区域 緊急用務区域

    (自然災害発生時に捜索・消火活動等でヘリコプターが飛行する区域)

    飛行に許可が必要な区域 ・空港等の周辺の上空の空域

    ・地表・水面から150m以上の高さの空域

    ・人口集中地区(DID地区)の上空

    禁止されている飛行方法 ・薬物摂取・飲酒しながらの飛行

    ・日没後の飛行

    ・目視できない場所での飛行

    ・第三者に30m未満の距離まで接近する飛行

    ・イベント開催中の会場上空での飛行

    ・危険物(火薬・毒物・凶器・引火性の液体等)の輸送

    ・飛行中の機体からの物体の投下

    ・飛行中の機体からの気体・液体の散布

    ・機体の安全点検怠った状態での飛行

    ・気象状態に対し準備を怠った飛行

    ・人や物の安全、プライバシーを脅かす飛行

    参照:無人航空機の飛行禁止空域と飛行の方法|国土交通省

    許可申請先

    申請先 ・国土交通省

    ・管轄の空港(※空港周辺や地上150m以上を飛行する場合)

    申請方法 ・郵送(メール)

    ・オンライン

    ・窓口

    申請方法の種類 ・包括申請

    ・個別申請

     

    航空法の許可申請には、「包括申請」と「個別申請」の2種類があります。

     

    包括申請とは、ドローン飛行の日時や場所が明確に決まっていない場合に行う申請です。包括申請が許可されると、1年間日本全国でドローンを飛ばすことができます。ただし、包括申請は業務での申請のみ受け付けており、趣味など個人的な理由でのドローン飛行では申請できません。

     

    個別申請は、包括申請ができない場合に行います。

     

    イベント開催時に会場上空を飛行する際や、空港等の周辺や地上150m以上の高さで飛ばす際などに必要です。

    小型無人機等飛行禁止法

    小型無人機等飛行禁止法は、国の重要施設やその周辺半径約300mの地域の上空で、小型無人機(ドローンを含む)の飛行を禁止する法律です。国政の中枢機能や防衛基盤、経済活動などの安全維持を目的としています。

    しかし例外的に、通報書の提出や申請によって飛行が許可されるケースもあります。

    規制の概要

    主に以下の6つの施設で飛行が禁止されています。

     

    飛行禁止の対象施設
    (1)国の重要施設 ・国会議事堂

    ・内閣総理大臣官邸

    ・危機管理行政機関

    ・皇居・御所

    ・最高裁判所庁舎

    ・政党事務所

    など

    (2)防衛関連施設 ・自衛隊施設

    ・在日米軍施設

    (3)外国公館
    (4)原子力発電所
    (5)空港
    (6)大会会場など(措置法により)

    参照:小型無人機等飛行禁止法関係|警視庁

     

    しかし例外として以下の場合、申請や通報届を提出すると飛行が許可されます。

     

    • 対象施設の管理者、もしくはその同意を得た者による飛行
    • その土地の所有者が自身の土地の上空で行う飛行
    • その土地の所有者の同意を得た者が、同意を得た領域上空で行う飛行
    • 国や地方公共団体の業務上必要な飛行

    許可申請先

    申請先 ・飛行場所を管轄する警察署

    ・皇宮警察本部長(皇居等を飛行する場合)

    申請方法 ・飛行の48時間前までに対象施設の管轄警察署に所定の通報届や必要書類を提出

    道路交通法

    道路交通法76条では、道路の上空でのドローン飛行や、道路上や路肩でドローンの離着陸を行う場合、許可申請が必要となっています。上空だけでなく、通行中の車に影響を及ぼすような低空(4.1m以下)を飛行する場合も同じように許可が必要です。

    参照:道路交通法|衆議院

    許可申請先

    申請先 飛行場所を管轄する警察署
    申請方法 道路許可申請書や必要書類を警察署へ提出

    民法

    民法では、土地の所有権は地上だけでなく、その土地の地下や上空にも及ぶとされています。そのため、私有地でドローンを含めた無人航空機を飛行させるには、土地所有者へ確認し飛行許可をもらわなければなりません。

     

    また、一見私有地だと思われていない場所も私有地だったケースが多くみられるため注意が必要です。

    例えば、民法上で私有地とされているものに以下があります。

     

    • 山林
    • 神社仏閣
    • 空き地
    • 駐車場
    • 電車の駅、路線
    • 観光地

     

    許可確認先

    確認先 ・土地の所有者

    ・土地の管理者

    確認方法 ・対面

    ・電話

    ・メール

     

    まれにドローンを目撃した住民が、善意から警察署に通報することがあります。ドローン撮影(飛行)をする場合は、土地の所有者・管理者だけでなく、管轄の警察署にも連絡しておくと混乱を避けられて良いでしょう。

    都道府県や各自治体の条例

    都道府県や各自治体によっては、ドローンの禁止エリアが定められている場合があります。例えば公共施設や都立公園・県立公園、庭園はドローン飛行が禁止されているケースが少なくありません。東京都にいたっては、都内81ヶ所の都立公園と庭園内でドローンの使用が禁止されています。

     

    飛行禁止エリアは各自治体によって異なるため、事前に撮影場所を確認し、都道府県や各自治体の窓口で確認をとっておきましょう。

    ドローンの飛行許可が不要になるケース

     

    ドローンの飛行許可が不要なケースとして、主に以下の6つが挙げられます。

     

    飛行許可が不要なケース 概要
    日中の飛行 ・日没以外の飛行は許可不要

    (※日没後は国土交通省の許可が必要)

    目視内での飛行 ・肉眼で確認できる範囲内の飛行は許可不要

    ※ただし以下の1~3は目視内に含まれない

    1.視界が建物や障害物で遮られる

    2.操縦者以外の第三者が確認する

    3.双眼鏡やモニターで確認する

    障害物と30m以上離れての飛行 ・人や車、建物などと30m以上離れて飛行する場合許可は不要
    危険物を搭載させない飛行 ・毒物類や引火性液体、火薬類、凶器などの危険物を輸送しない場合は許可不要

    (※上記の輸送には国土交通省の許可が必要)

    物の投下・農薬散布をしない飛行 ・飛行中のドローンから物(液体・霧状含む)を投下する場合は許可が必要
    屋内での飛行 ・屋内は航空法の対象外なため許可不要

    (トンネル内部・地下道内部・煙突内部等も含まれる)

     

    上記以外の場所・条件でドローンを飛行させる場合は、必ず許可を取るようにしましょう。

    100g以上のドローンは機体登録が必要

    飛行許可や撮影許可とは別に、100g以上の重さのドローンを操縦する場合は、国土交通省に機体登録しなければなりません。

     

    従来のルールでは、登録が必要なのは機体が200g以上の無人航空機(ドローン)のみでした。しかし2022年6月20以降、100g以上の重量の無人航空機(ドローン)の機体登録が義務化されました。趣味用の小さなトイドローンであっても、重量が100g以上あるものは機体登録が必須です。

     

    100g以上の重さがある無人航空機(ドローン)を機体登録せずに飛行させた場合、罰則として1年以下の懲役または50万円以下の罰則が機体の所有者に科せられます。

    ドローン飛行に資格や免許は必要?

     

    これまでドローンの操縦に関しては、民間資格のみ存在していました。しかし2022年12月の航空法改正により、ドローンの操縦ライセンスが国家資格として新設されました。

     

    そもそもドローンの操縦に資格や免許は必要なのでしょうか?詳しく見ていきましょう。

    ドローン飛行は原則的に資格・免許は不要

    ドローンの操縦自体は、原則的に資格や免許が必要ありません。前述した航空法や小型無人機飛行禁止法といった法律を守っていれば、操縦ライセンスがなくてもドローンを飛ばすことができます。

     

    しかし、趣味の範囲を超えて仕事としてドローンを操縦するのであれば、資格や免許は一定の能力の証明となるため、持っていて損はないでしょう。また、2022年12月から新設されたドローンの国家資格では、民間資格では飛行できなかった場所での飛行が可能になったり、申請・許可の手間が省略されたりというメリットもあります。

    ドローン飛行の国家資格・民間資格

    ドローンの国家資格や民間資格を詳しく見ていきましょう。

    ドローンの国家資格

    ドローンの国家資格(操縦ライセンス)は、正式名称を「無人航空機操縦者技能証明等」といいます。習得するには、国土交通省に登録された登録講習機関(ドローンスクール)に通った後学科試験を受けるか、ドローンスクールに通わず学科試験と実地試験を受けるかの2種類の入り口があります。

     

    ドローンの国家資格には「一等無人航空機操縦士(一等資格)」と「二等無人航空機操縦士(二等資格)」があり、一等資格はレベル4飛行(有人地帯における補助者なしでの目視外飛行)が可能です。

    資格名 一等資格 二等資格
    レベル1~3飛行
    レベル4飛行 ×

    参照:無人航空機操縦者技能証明等|国土交通省

     

    ドローンを飛行させる領域は以下の4段階にレベル分けされています。

     

    • レベル1:目視内での手動操縦飛行
    • レベル2:目視内での自動・自立飛行
    • レベル3:無人地帯における補助者なしでの目視外飛行
    • レベル4:有人地帯における補助者なしでの目視外飛行

     

    二等資格や民間資格がレベル1~レベル3までしか飛行させられなのに対し、一等資格は許可申請すればレベル4の領域でドローンを飛ばすことができます。レベル4飛行では「大勢がいる場所」で「人から見えない」状況でもドローンを飛ばせられるので、物流分野や測量分野での活用が期待されています。

    ドローンの認定資格(民間資格)

    ドローンの民間資格の例として、以下があります。

     

    資格名 主催団体 概要
    JUIDA認定資格 JUIDA(一般社団法人日本UAS産業振興協議会) カリキュラムを修了した者に「「無人航空機操縦技能証明書」などを付与
    DPA認定資格 DPA(一般社団法人ドローン操縦士協会) カリキュラムを修了した者に「ドローン操縦士回転翼3級」などを付与
    IAU認定資格 IAU(国際無人航空機協議会) カリキュラムを修了した者に「無人航空機操縦技能認証」などを付与

     

    これまで、上記のような民間資格を取得していると、ドローン飛行の際の許可申請が簡略化されるというメリットがありました。しかし、ドローンの国家資格の登場により、国土交通省は2025年12月5日にドローンの民間資格を廃止すると発表しました。今すぐに民間資格の効力がなくなるわけではありませんが、2025年12月5日に向けて、許可申請簡略化といった民間資格の効力は制限されていく見通しです。

    ドローンの飛行・撮影許可申請は代行がおすすめ

     

    ドローンの飛行・撮影には今回紹介したようにさまざまな法律が関わってきます。多くの許可申請を行わなければならないため、慣れない手続きに戸惑う方も少なくありません。

     

    ドローンの飛行・撮影許可申請は、プロのドローン空撮業者に依頼するのがおすすめです。包括申請を取得している業者も多く、申請期間を省略できる場合もあります。

    ドローンの撮影許可と飛行許可は別々にとる?

    ドローンの飛行許可と撮影許可は別物なので、別々に申請する必要があります。施設管理者など、許可を得る対象が同じであれば一緒に申請しても良いでしょう。

    ドローン撮影の注意点は?

    ドローン撮影では、各法律を遵守する以外にも、安全確認やプライバシーを侵害しないよう気を付けなければいけません。以下の点に注意して撮影しましょう。

     

    • 住宅地にカメラを向けない
    • 車のナンバープレートを映さない
    • 人を大写しで撮影しない
    • 飛行高度を上げて映り込みを防ぐ
    • 飛行前に機体の安全点検を行う
    • 気象状態を十分に確認する

     

    ドローンで撮影した画像や動画をインターネット上にアップロードする際は、個人を特定できるようなものにはぼかしを入れるよう徹底することが大切です。また、万が一公開後に権利侵害の申し立てをされた場合、すみやかに該当画像を削除しましょう。

    ドローンの撮影許可が必要か条件を確認しよう

    ドローン撮影は、撮影自体に許可が不要でも、飛行許可が必要なケースがほとんどです。

    また、個人のプライバシーを侵害しないよう撮影することも忘れてはいけません。

     

    複雑なドローンの飛行・撮影許可申請に不安がある方は、ドローンの空撮業者に依頼するのがおすすめです。ドローンガイドではドローン撮影を行う全国の専門業者を紹介しています。興味をお持ちの方はぜひご活用ください。