点検 2023.12.01

ドローンによる屋根点検のメリット・デメリット!費用相場や点検の流れについても解説

#屋根

最終更新:2024.03.04

屋根は年数が経つごとに劣化するため、定期的に点検・メンテナンスが必要です。

 

とくに最近では、ドローンで屋根点検ができる業者が増えていることもあり、ドローンによる屋根点検のメリット・デメリットや費用相場について興味を持っている方も多いのではないでしょうか。

 

そこで今回は、ドローンによる屋根点検のメリット・デメリットや費用相場、点検の流れなどを解説します。屋根点検を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

ドローンによる屋根点検とは?

屋根は建物の中を安全で快適な状態に維持するために、欠かせない建材の一つです。

 

たとえば、屋根があることで雨風や紫外線から建物を守ったり、日差しを遮って建物の中を過ごしやすい温度環境にしたりする役割があります。しかし、毎日、雨風や紫外線の刺激を直接受けているため、時間が経つごとに少しづつ劣化してしまいます。

 

屋根の劣化を放置していると、雨漏りなどが発生する可能性があるため、定期的に屋根点検を実施し、必要に応じてメンテナンスを行うことが大切です。

 

従来の屋根点検といえば、点検業者が屋根の上に登って、屋根の状態をチェックするのが一般的でした。しかし、最近ではドローンによる屋根点検が行われるケースも増えています。

 

ドローンによる屋根点検とは、撮影機能やサーモグラフィ機能のついたドローンを飛ばして屋根の状態を撮影し、撮影したデータを分析して屋根の状態をチェックする方法です。

 

点検に用いられるドローンは高画質なカメラを搭載しているため、屋根材のひび割れや塗装の剥がれなどの細かい部分も確認できます。さらに、サーモグラフィ機能を搭載しているドローンなら、屋根の蓄熱状態まで確認できるため、どのような屋根状態なのかを詳細にチェック可能です。

 

ドローンによる屋根点検6つのメリット

ドローンの普及に伴い、屋根点検にもドローンが用いられるケースが増えましたが、

「従来の屋根点検の方法と比較して、どのようなメリットがあるの?」

「ドローンによる屋根点検ならではのメリットが知りたい」

という方も多いでしょう。

 

ここでは、ドローンによる屋根点検の6つのメリットを解説します。

1.屋根点検にかかる工数を削減できる

ドローンによる屋根点検は、従来の点検方法と比較して、点検にかかる工数を削減できることがメリットです。

 

ドローンを使うと、地上からドローンを飛ばして撮影し、撮影したデータを分析することで点検が完了します。そのため、作業員の安全を確保するために足場を組んだり、はしごを準備したりする必要がなくなります。

 

さらに、作業員が点検を実施する場合、目視や触診で屋根の状態を少しづつ確認しなければなりませんが、ドローンなら広範囲を撮影可能であるため、点検自体にかかる時間や作業員数も減らせます。

 

2.足場が不要となり点検費用が安くなる

労働安全衛生法による定義によると、高所作業とは「地上から2メートル以上の高さで行う作業(作業床の端や開口部などの例外はあり)」のことを指し、高所作業では足場を組むなどの対策が必要となります。

 

もし、住宅が隣接しているなどの理由で足場を組むのがむずかしい場合、墜落制止用器具を装着し、作業員の安全を確保しなければなりません。

 

屋根点検は高所作業となるため、特殊な理由がない限り足場が必須となります。点検する建物の大きさや階数、場所などによりますが、60坪(200㎡)2階建てのアパートの場合、足場代の費用相場は30万円前後です。

 

しかし、ドローンで屋根点検を実施すれば、足場を組む必要がなくなるため、点検費用の総額を抑えやすくなります。

3.屋根を傷つけない

ドローンによる屋根点検は、非接触で実施できるため屋根を傷つけないこともメリットの一つです。

 

従来の点検方法では、作業員が直接、屋根の上に登らなければなりません。たとえ慎重に作業しても、屋根へのダメージがないとは言い切れないうえに、屋根材が破損するリスクも高まります。

 

しかし、ドローンでの点検であれば、人や工具が屋根に触れることなく点検を実施できるため、屋根を傷付けずに点検が可能です。

4.作業員の安全性を確保しやすい

ドローンを使って屋根点検を行う場合、作業員は地上からコントローラーでドローンを操作して撮影を行い、データを確認するだけなので安全性が高まることもメリットです。

 

一方、作業員が屋根に登って点検を行う場合、足場を設置したり、墜落制止用器具を装着したりしても、危険と隣り合わせの作業であることには変わりありません。作業員が落下する事故や、工具を落として周囲の人を怪我させる事故が発生するリスクがあります。

 

なお、ドローンの中には自動操縦が可能なモデルもあるため、操作ミスによる事故やトラブルのリスクも軽減できます。

5.屋根の高さや形状による制限がない

ドローンによる屋根点検は、屋根の上から空撮を行うため、屋根の高さや形状による制限がかかりません。

 

従来の点検方法の場合、足場が組めないうえに高さがある建物や、急こう配の屋根などは、点検が困難な場合もありました。さらに、雨が降った翌日などで屋根が濡れている場合も、滑落の危険があるため点検がむずかしいでしょう。

 

しかし、ドローンなら屋根の高さや形状、状態による影響を受けずに点検ができます。

6.依頼者も屋根の状態を確認できる

従来の点検方法の場合、依頼者は屋根の上に登れないことから、作業員から点検結果を聞いて屋根の状態を判断するしかありません。

 

しかし、屋根の状態を依頼者が確認できないことを利用し、あえて屋根の状態を悪く伝えて高額な修繕費用を請求するケースも業者もゼロではありません。

 

一方、ドローンによる屋根点検であれば、空撮したデータをもとに屋根の状態をチェックするため、点検業者と依頼者が一緒にデータを確認できます。依頼者も屋根の状態を細かく確認できるため、業者の説明を理解しやすくなるうえに、トラブル防止にもつながります。

 

ドローンによる屋根点検4つのデメリット

ドローンによる屋根点検は、複数のメリットがある一方で、デメリットもあります。

 

では、どのようなデメリットがあるのか、具体的に見ていきましょう。

 

1.飛行空域によっては点検ができない

ドローンは無人航空機と呼ばれているとおり、高性能な機械です。そのため、ドローン飛行による事故やトラブルを防止するために、法律や条例で飛行ルールが定められています。

ドローン規制に関係する法律や条例は以下の6つです。

 

  1. 航空法
  2. 小型無人機等飛行禁止法
  3. 民法
  4. 電波法
  5. 道路交通法
  6. 都道府県、市町村条例

 

このように、ドローンを屋外で飛ばすためには、さまざまな法律や条例をクリアしなければなりません。たとえば、航空法ではドローンの飛行禁止空域を以下のように定めています。

 

【航空法に記載されているドローンの飛行禁止空域】

  • 空港等の周辺の上空の空域
  • 地表又は水面から150m以上の高さの空域
  • 人口集中地区の上空の空域
  • 緊急用務空域

 

さらに、航空法では飛行方法に関する規制もあります。

【航空法に記載されているドローンの飛行方法に関する規制】

  • 薬物および飲酒時の飛行禁止
  • 夜間飛行
  • 目視外飛行
  • 第三者または第三者が所有する物まで30m未満の距離の飛行
  • イベント会場上空の飛行
  • 危険物輸送
  • 飛行中の物件投下

 

こちらは、航空法によるルールであり、そのほかの法律や条例もクリアしていなければドローンを飛ばすことはできません。ただし、申請を行って許可を得られれば、飛行可能になるケースもあります。

 

とはいえ、ドローンを飛ばすにはさまざまな法律や条例が関係してくるため、「ドローンで屋根点検をしたい!」と考えても、法律や条例の関係で実施できない場合があるのはデメリットといえます。

2.点検中の騒音が気になりやすい

ドローンで屋根点検を実施する場合、騒音が気になりやすいことがデメリットの一つです。

 

Phantom4 pro」というモデルのドローンを例に挙げると、室内で稼働させたときの音の大きさは約87dbであったとされています。

 

70デシベル以上になるとうるさいと感じられ、騒音の大きさレベルを具体例で表すと以下のとおりです。

騒音の大きさ 感じ方 具体例
30db 静か 深夜の郊外
40db 閑静な住宅地の昼、図書館内
50db 普通 家庭用エアコンの室外機の近く、静かな事務所の中
60db 走行中の車内、デパートの店内
70db うるさい 高速走行中の自動車内、セミの鳴き声
80db 走行中の電車内、救急車のサイレン、パチンコ店の中
90db 極めてうるさい カラオケ音、犬の鳴き声(直近)

 

上の表を見ると、ドローンの音はうるさい、もしくは極めてうるさいと感じられる騒音レベルであり、稼働音がかなり大きいことがわかります。

 

屋外かつ高い位置で飛ばすことから、騒音を過度に気にする必要はないかもしれませんが、点検前に近隣住民の方へ挨拶をするなどの配慮をしておくと安心です。

3.触診による点検や応急処置ができない

ドローンによる屋根点検の精度は高いですが、触診による点検や応急処置ができないことはデメリットの一つです。

 

たとえば、屋根材のガタつきは触診でしかわからない不具合であり、ドローンだけで点検を実施すると見落としてしまう可能性があります。

 

また、作業員や屋根に登って点検をする場合、点検をしながら可能な範囲で応急処置ができます。しかし、ドローン点検の場合、データから不具合を見つける必要があり、応急処置はできません。

4.点検日が天候に左右される

ドローンの屋根点検は、天候に左右されやすいこともデメリットとして挙げられます。

 

ドローンは雨や風に弱く、降水確率や風速などの予想を見て、計画的に点検日を決めなければなりません。また、点検当日に急な悪天候となった場合、延期もしくは中止となる可能性があります。

 

関連記事:屋根調査で何がわかる?ドローンを利用した調査のメリット・デメリットも解説

ドローンを使った屋根点検の流れ

一般的なドローンによる屋根点検の流れは以下のとおりです。

 

  1. ドローンによる屋根点検が実施可能な業者を探す
  2. ドローンを使用できるか業者に確認してもらう
  3. 点検日を決める
  4. 点検を実施する(立ち合いが必要)
  5. 点検データの受け取り・チェックを行う

 

以上が基本的な点検の流れとなります。ただし、屋根点検を実施しているすべての業者がドローンを扱えるわけではないため、ドローンによる点検を希望する場合は依頼前に確認しておくようにしましょう。

 

また、点検日は立ち合いが必要となるため、予定を開けておく必要があります。

 

もし、点検の結果、屋根に不具合が見つかった場合は、そこからメンテナンス・修理の見積もりをもらって、対応していく流れとなります。

 

ドローンによる屋根点検の費用相場

「ドローンによる屋根点検をしてみたいけどいくらかかるの?」

「従来の点検方法より安いって聞いたけれど本当?」

など、費用相場が気になっている方も多いでしょう。

 

ドローンによる屋根点検の費用は、5,000円〜数万円が相場です。

 

【サービスと価格の例】

ドローンによる屋根点検のみ:1万円~

ドローンによる屋根点検と点検結果の報告書作成:2.5万円~

赤外線センサー搭載のドローンによる屋根点検:8万円~

 

このように、ひとえに点検といっても、どのようなドローンで、どこまで対応してもらうのかによって費用相場が変わります。また、調査する屋根の大きさなどでも費用が変わるため、詳細な費用を確認したい方は、業者に見積もり依頼をするのがおすすめです。

 

屋根点検をドローンで実施するときの業者選びのポイント

ドローンで屋根点検を実施するときは、業者選びが重要なポイントとなります。業者選びに失敗すると、点検の精度や費用面などでトラブルになる可能性が高まります。

 

大切な住宅やアパート、マンションなどの屋根を任せるためにも、業者選びのポイントを見ていきましょう。

経営体制が安定している

まず、点検業者の経営体制を確認するようにしましょう。

 

創業から年数が経っている、大企業の子会社であるといった場合、経営体制が安定している可能性が高まります。

 

仮に、経営が安定していない業者に依頼した場合、費用を支払ったのに点検データがもらえなかったり、ドローンの操作ミスで屋根が破損したにもかかわらず、補償してもらえなかったりするリスクが高まります。

 

表面的なサービスや対応がよいからといって依頼を決めるのではなく、経営体制を確認しておくとリスクを軽減できるでしょう。

口コミや評判がよい

信頼できる業者か判断するときは、口コミや評判を確認するのもポイントの一つです。

 

業者のホームページだけをチェックするのではなく、口コミサイトを確認し、どのようなことが書かれているか確認しましょう。その際、悪い口コミが目立つ、口コミがまったく書かれていないといった場合、信頼性が高いとはいえません。

 

口コミや評判だけを信頼するわけにはいきませんが、判断材料の一つとしてチェックしてみるのがおすすめです。

料金プランがわかりやすい

料金プランがわかりやすいことも、信頼できる業者の特徴です。

 

高額な点検費用を請求する業者の場合、あえて料金プランをわかりにくくしている傾向にあります。料金プランがわかりにくいと、何にどのような費用がかかっているのかわからず、依頼者が高いのか、相場通りなのか判断しにくくなるからです。

 

一方、優良業者の場合、料金プランがわかりやすく、見積もりも明確であることが大半です。

 

【全国版】おすすめのドローン屋根点検業者をご紹介

 

屋根点検の闇3選

基本的に自分で屋根を確認することができません。

 

非常に残念なことではありますが、それを良いことに悪質な屋根点検の訪問業者は後を立ちません。

悪質な事例

①屋根の板金 浮いてる と嘘の営業をする

屋根を理由とした訪問販売販売業者は非常に多く、その中でも特に多いのが板金の指摘です。

言葉巧みに「板金が壊れている」「破損している」等の不安を煽り契約を迫るケースが多いのが特徴です。

 

もちろん本当に壊れているケースもあるかと思いますが、訪問業者の話だけを鵜呑みにせず、自分でも屋根の状況をチェックしてみることが大切です。

 

地元の屋根点検業者を探す

 

②屋根の上に登りわざと壊す

耳を疑うような話ですが、悪質な訪問業者の中には親切な口調で「無料で屋根を点検しますね!」と言い屋根の上に登り、故意に屋根を破壊し、実際に被害を作り出す業者も実在します。

 

ここまでいくと刑事事件ですが、実際に「屋根が壊れている」という状況になると冷静な判断ができなくなってしまいます。

突然の訪問販売業者等の信頼できる業者ではない場合は、安易に屋根の上には登らせず、ドローンで全体の状況を確認することをおすすめします。

 

③使えない火災保険を提案してくる

こちらも比較的よくある事例ですが、悪質な訪問業者の中には適用できない火災保険を提案してくるケースもあります。

 

当然ですが、火災保険は経年劣化に適用はできません。

もし、経年劣化で火災保険を使おうとするとそれは、虚偽の申請つまり金融詐欺にあたります。

 

もちろん本当に火災保険を使用できるケースは多数あるのも事実ですので、突然の訪問販売業者を安易に信頼せず、複数の業者の見解を聞くことをおすすめします。

 

地元の屋根点検業者を探す

まとめ

今回は、ドローンによる屋根点検について解説しました。

 

屋根は雨や風、紫外線などの影響で時間が経つごとに劣化していくため、良い状態の屋根を維持するためにも定期的な点検・メンテナンスが欠かせません。

 

最近では、ドローンを使った屋根点検が普及しており、従来の点検方法と比較して、安全面や費用面などでメリットがあります。ただし、触診による点検が実施できないことや、天候に左右されやすいなどのデメリットもあるため、メリット・デメリットや費用などから、どのような方法で点検を実施するか決めるのがおすすめです。

 

また、屋根は悪徳業者が狙ってくることが多い箇所なのも事実です。

 

ぜひ今回の記事を参考に、信頼できる業者にドローン屋根点検を検討してみてください。

 

掲載をご希望の事業者さま